【保護者向け】子供の中学英語の成績が伸びない時に親ができるサポート術

お子様の英語の成績表を見て、思わずため息をついてしまった経験はありませんか。

「小学校の頃はあんなに楽しそうだったのに…」
「塾にも行かせているのに、どうして結果が出ないんだろう?」
「このままで、高校受験は大丈夫かしら…」

そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
かつて中学校の英語教師として、そして今、まさに中学生の子どもを持つ親として、私自身も同じような不安や焦りと向き合ってきました。

しかし、どうかご安心ください。
お子様の成績が伸び悩んでいるのには、必ず理由があります。
そして、その原因さえ分かれば、ご家庭でできるサポートは驚くほどたくさんあるのです。

この記事では、元英語教師としての専門知識と、一人の親としての実体験に基づき、お子様の英語学習を成功に導くための具体的なサポート術を余すところなくお伝えします。

この記事を読み終える頃には、あなたの不安は「明日からこれをやってみよう!」という前向きな希望に変わっているはずです。
さあ、一緒にお子様の可能性を最大限に引き出す一歩を踏み出しましょう。

明日香出版社さんから出ている「朝5分の中学英語 めくって覚える。1日つぶやく。」という書籍も参考になりますよ。

なぜ?中学英語で子供がつまずく「よくある5つの壁」

まず大切なのは、お子様がなぜ英語でつまずいているのか、その原因を正しく理解することです。
多くの場合、子供たちはいくつかの共通した「壁」にぶつかっています。

壁1:小学校英語とのギャップ

最も大きな壁が、小学校英語とのギャップです。
小学校では、ALTの先生とゲームをしたり、歌を歌ったりと「楽しむ」ことが中心でした。

しかし中学校に入ると、状況は一変します。
アルファベットの読み書きから始まり、本格的な文法ルールが登場し、覚えなければならない単語の量も急激に増えます。
2021年度からの新学習指導要領では、中学で学ぶべき英単語数は約1,600〜1,800語にもなりました。

この「楽しむ英語」から「学ぶ英語」への急な変化に、多くの子どもたちが戸惑い、最初のつまずきを経験してしまうのです。

壁2:「単語が覚えられない」の壁

「英単語が全然覚えられない」という悩みは、中学生から最も多く聞かれる声の一つです。
ただひたすら単語帳を眺めて書くだけの作業は、非常につまらなく、苦痛ですらあります。

多くの場合、単語の「スペル(文字)」だけを覚えようとしており、その単語が持つ「音」と「意味」、そして「使われる場面」が全く結びついていません。
これでは、せっかく覚えてもすぐに忘れてしまい、テストで使える知識にはなりません。

壁3:「文法が理解できない」の壁

be動詞と一般動詞の使い分け、三人称単数現在の-s、時制、不定詞…。
中学英語の文法は、日本語にはないルールばかりで、子どもたちを混乱させます。

「なぜそうなるのか」という理屈が分からないまま、ただルールとして丸暗記しようとすると、応用が全く効かなくなります。
特にこの文法の基礎でつまずくと、2年生、3年生と学年が上がるにつれて、授業の内容が全く理解できなくなるという深刻な事態に陥ってしまいます。

壁4:「読む・聞く」が苦手になる壁

単語と文法という土台がぐらついていると、当然その上に建つ「長文読解」や「リスニング」はできません。
教科書の文章を読もうとしても、知らない単語ばかりで意味が分からず、リスニングの音声はただの雑音にしか聞こえなくなってしまいます。

また、日本語とは語順が異なる英語を、いちいち日本語に訳し直して理解しようとする「返り読み」の癖がついてしまうと、読むスピードが極端に遅くなり、テストの時間内に問題を解き終えることができなくなります。

壁5:モチベーション低下の壁

これら4つの壁にぶつかり続けると、子どもの心の中では「英語=つまらない、苦手なもの」という意識が固まってしまいます。
「テストのために仕方なくやる」という状態になり、学習意欲はどんどん低下していきます。

本来、英語は新しい世界とつながるための楽しいツールのはずです。
その楽しさや、学ぶ目的を見失ってしまうことが、成績が伸び悩む根本的な原因の一つと言えるでしょう。

【原因別】今すぐできる!家庭での英語学習サポート術

お子様がどの「壁」にぶつかっているか、少し見えてきたでしょうか。
ここからは、原因別に家庭でできる具体的なサポート方法をご紹介します。
大切なのは「教える」のではなく、お子様が自ら学ぶための「環境を整え、伴走する」ことです。

ケース1:「単語・文法」の基礎固めをサポートする

英語学習の全ての土台となるのが単語と文法です。
ここが苦手なお子様には、反復練習を「苦行」ではなく「習慣」に変える工夫が必要です。

毎日のスキマ時間を活用した「反-復練習」の習慣化

机に向かうだけが勉強ではありません。
生活の中のちょっとしたスキマ時間を使うことで、無理なく反復練習ができます。

  • 食事中や食後に:「『りんご』って英語でなんて言うんだっけ?」とクイズを出す。
  • お風呂の時間に:防水の単語カードやポスターを活用する。
  • 車での移動中に:単語学習アプリの音声を聞き流す。

我が家では、寝る前の5分間を「英単語タイム」と決めて、親子で問題を出し合っています。
大切なのは、短時間でも毎日続けること
ゲーム感覚で取り組むことで、お子様の抵抗感を和らげることができます。

「音」を重視した学習法を取り入れる

単語や文法は、必ず「音」と一緒にインプットさせましょう。
黙って書くだけの勉強は、効果が半減してしまいます。

教科書には必ずCDや音声データが付いています。
それを活用して、ネイティブの発音を真似しながら音読する習慣をつけさせてください。
正しい発音が身につくと、リスニング力が向上するだけでなく、単語も格段に覚えやすくなります。

また、親子で一緒に好きな洋楽の歌詞を調べてみたり、英語音声・日本語字幕で海外ドラマや映画を観たりするのも素晴らしい方法です。
生きた英語に触れることで、机上の勉強では得られない楽しさを実感できるでしょう。

ケース2:「読む・聞く」の実践力をサポートする

基礎が少しずつ固まってきたら、次は実践力を養うサポートです。
ここでのキーワードは「簡単なレベルから、たくさん触れる」ことです。

簡単なレベルから始める「多読・多聴」

いきなり教科書の難しい長文に挑戦させる必要はありません。
お子様の興味やレベルに合った、簡単な英語の絵本や漫画、児童書などから始めてみましょう。

大切なのは、辞書を引かなくても8割程度は意味が分かるくらいの、やさしい素材を選ぶことです。
スラスラ読める成功体験が、「もっと読みたい!」という意欲につながります。
音声付きの教材を選べば、文字と音を一致させながら学習できるので、さらに効果的です。

英語を英語のまま理解する習慣をつける

長文を読むとき、つい日本語に訳しながら読んでしまうお子様には、英語を英語の語順のまま理解する練習をサポートしてあげましょう。

例えば、「I play tennis with my friends in the park.」という文なら、
「私は / プレイする / テニスを / 友達と / 公園で」というように、意味の固まりごとにスラッシュを入れ、頭から順番に意味を捉えていく練習(スラッシュリーディング)が有効です。
これを親子で一緒にやってみるのも良いでしょう。

ケース3:「やる気」の火を灯すサポート

どんなに良い学習法も、本人の「やる気」がなければ続きません。
保護者の役割として最も重要なのが、このモチベーションのサポートです。

小さな「できた!」を親子で共有し、褒める

テストの点数という結果だけを評価するのはやめましょう。
注目すべきは、お子様の努力の「過程」です。

  • 「毎日単語の勉強を続けていて、えらいね!」
  • 「この前の小テスト、ケアレスミスが減ったじゃない!」
  • 「音読、すごくスムーズになってきたね!」

このように、具体的にどこがどう成長したのかを言葉にして褒めてあげることで、お子様の自己肯定感は高まり、「次も頑張ろう」という気持ちが芽生えます。
目標達成シートのようなものを作り、クリアできたらシールを貼るなど、成長を「見える化」するのもおすすめです。

英語の先にある「楽しい世界」を見せる

「何のために英語を勉強するのか」という目的意識を持たせることも、非常に重要です。
お子様の好きなことと英語を結びつけてみましょう。

例えば、好きな海外のサッカー選手がいるなら、その選手の英語のインタビュー動画を一緒に見てみる。
K-POPが好きなら、アイドルのメンバーが英語で話しているシーンを探してみる。
将来ゲームクリエイターになりたいなら、「世界中の人と仕事をするには英語が必要だよ」と話してあげる。

英語がテストのためだけの科目ではなく、自分の世界を広げてくれるワクワクするツールなのだと気付いた時、お子様の学習意欲に本当の火が灯ります。

成績アップへの近道は?学習環境の整え方と外部サービスの活用

家庭でのサポートと合わせて、学習環境や外部サービスをうまく活用することも成績アップへの近道となります。

学習環境づくりの基本

まずは、お子様が勉強に集中できる環境を整えてあげましょう。
静かで整理整頓された学習スペースはもちろんですが、意外と見落としがちなのがスマホやゲームとの付き合い方です。

勉強時間はスマホをリビングに預ける、終わるまではゲームをしないなど、親子で話し合って明確なルールを作ることが大切です。
親が一方的に禁止するのではなく、お子様自身に決めさせることで、責任感が生まれます。

塾や家庭教師の選び方

家庭学習だけでは難しい場合、塾や家庭教師は心強い味方になります。
選ぶ際に大切なのは、お子様の性格に合っているかどうかを見極めることです。

指導形態メリットデメリットこんな子におすすめ
集団指導塾・競争心があおられ、モチベーションが上がる
・仲間と一緒に頑張れる
・比較的、費用が安い
・質問がしにくいことがある
・自分のペースで進められない
・負けず嫌いな子
・周りに刺激を受けたい子
個別指導塾・自分のペースで学習できる
・分からない所をすぐに質問できる
・苦手分野を重点的に対策できる
・競争心が生まれにくい
・費用が比較的高め
・自分のペースでじっくりやりたい子
・質問するのが苦手な子
家庭教師・完全マンツーマンで指導を受けられる
・移動時間がなく、学習計画を柔軟に組める
・講師との相性が重要
・費用が最も高くなる傾向
・部活などで忙しい子
・集団が苦手な子

必ず体験授業を受けて、教室の雰囲気や先生との相性を確認してから決めるようにしましょう。

オンライン英会話という選択肢

近年、選択肢として非常に人気が高まっているのがオンライン英会話です。
塾が「インプット」中心なのに対し、オンライン英会話は「アウトプット」の絶好の機会となります。

外国人講師とのコミュニケーションを通じて、「英語が伝わった!」という成功体験は、何よりの自信と学習意欲につながります。
英検の面接対策としても非常に効果的です。

英語学習アプリや教材の賢い選び方

書店やインターネットには、無数の英語教材が溢れています。
選ぶ際のポイントは、お子様の現在のレベルと目的に合っているか、そして何より「本人が楽しめるか」です。
ゲーム感覚で進められるアプリや、好きなキャラクターが登場する教材など、お子様自身に選ばせてあげるのも良い方法です。

保護者が知っておきたい、最も大切な心構え

ここまで様々なテクニックをお伝えしてきましたが、最後に最も大切にしていただきたい「心構え」についてお話しします。

他人と比べず、子供の過去と比べる

「〇〇ちゃんは、もう英検準2級に受かったんだって」
こうした言葉は、子どもの自信とやる気を一瞬で奪ってしまいます。

比べるべき相手は、他の誰かではありません。
昨日の、そして一週間前のお子様自身です。
「前はできなかったこの問題が、今日は解けるようになったね」
その小さな成長を見つけて、認めてあげてください。

完璧を求めすぎない

子どもは、間違うことで成長していきます。
一つひとつのミスを厳しく指摘するのではなく、「間違えても大丈夫だよ」「次はどうしたらできるかな?」と一緒に考える姿勢が大切です。

親自身が英語が苦手でも、全く問題ありません。
むしろ、「お母さんも一緒に勉強してみようかな」と一緒に学ぶ姿勢を見せることで、お子様は心強く感じるはずです。

「教える」のではなく「伴走する」スタンスで

あなたはお子様の英語の先生になる必要はありません。
あなたの役割は、コーチであり、マネージャーであり、そして何より、一番のファンであることです。

お子様の学習を管理し、指示するのではなく、お子様が自分で走り出せるように隣で支え、励まし、時にはそっと見守る。
そんな「伴走者」であることが、親にできる最高のサポートなのです。

まとめ

中学英語の成績が伸び悩む背景には、様々な原因が複雑に絡み合っています。

  • 小学校英語とのギャップ、単語・文法の壁、モチベーションの低下など、つまずきの原因を冷静に見極めること。
  • 家庭では「反復練習の習慣化」「音を重視した学習」「多読・多聴」「やる気を引き出す声かけ」でサポートすること。
  • 必要に応じて、お子様の性格に合った塾やオンライン英会話などの外部サービスを賢く活用すること。
  • そして何より、他人と比べず、完璧を求めず、お子様の「伴走者」に徹すること。

焦る必要はありません。
この記事でご紹介したサポート術の中から、まずは一つでも「これならできそう」と思えるものから試してみてください。

その小さな一歩が、お子様の未来を大きく変えるきっかけになるはずです。
あなたは一人ではありません。
お子様にとって最高の応援団として、笑顔でその挑戦を支えていきましょう。

最終更新日 2025年11月28日 by agimem